「創造的破壊 断絶の時代を乗り越える」*1より

そこで思考パターンとビジネスの関係について書かれている本を探してみたのですが、写真のような本をみつけました。2002年の本で著者は経営コンサルティング会社のマッキンゼーコンサルタントで、イノベーションの専門家です。
そこで書かれている発散的思考と収束的思考について。

 発散的思考の目的は、検討すべき問題とその解決策を見つける際にできるだけ検討の範囲を広げることだ。発散的思考法では直観力が鍵となる。この思考法を利用することで、解決されるべき問題や、その問題の背景が明らかになる場合がある。視点をすばやく切り替える能力や、例外的な結びつきを見つけだしたり作りだしたりするする能力にも関係している。チェスの名人は発散的思考を「ズームアウト」思考と呼ぶ。持っている情報をすべてその状況に投入する手法である。
 ズームアウト思考をとる人は守備範囲が広いといえる。専門以外の分野にも強い興味を示すし、さまざまな分野に精通し、新しい技術を積極的に習得することが多い。多種多彩な刺激をくり返し求める傾向があり、通常多種類のプロジェクトに同時に取り組む。これは創造的な人間に共通して見られる行動様式である。飽きることも障害となることもなく、アイデアが意外な方向で融合する効果を生む。
 「幅広い興味と多くの才能を持ち、柔軟な思考を楽しむ人、そしてさまざまな分野のまったく異なる要素を意外な組み合わせで結びつけ、複数のアイデアの相乗効果を生み出せる人がいる。そうした人が、これまでまったく関係のなかったものに調和を見出す可能性が高いのは当然のことだ」
 発散的思考は3つの段階から構成され、それぞれの段階は密接に連係し、重複し、くり返し現れる。探索、孵化、対立という3つの段階は、発見のプロセスに特有な結節点をなしている。

 創造的過程の次の段階は収束的思考である。分析能力の鍵となる収束的思考は、IQテストで評価することができる。正しい答えが一つだけある問題、明確に定義された論理的な問題を解決する際に要求される思考法である。チェスの名手はこの思考法を「ズームイン」思考と呼ぶ。ズームイン思考は、すべての駒の位置や直前の動きなど、現在の状況を詳細に把握する手法であり、演繹的思考に似ている。収束的思考では重要な詳細部分に注目し、関連性のあるアイデアを選別する。そして、重要な詳細部分を排除せずに、かつ本質を把握できる程度に、問題を巧みに単純化していく。選別は収束的思考に不可欠な技術である。
 「収束的思考の実践者は、情報を綿密に読み取り、重要なもの以外をすべて排除し、ごく一部の情報に焦点を合わせて徐々に咀嚼し消化することで、最終的には大量の情報を保有できるようになる」
 発散的思考では問題を細かく分解する必要があったが、収束的思考は「再構築」と、還元によるものだ。段階としては決断と試行の2つがある。
 収束的思考はほとんどの企業で確立されている。企業が不慣れなのは「発散的」な思考である。

それぞれの関係は発見のプロセスとして語られています。

 発見のプロセスには2つの手法があり、実際には両方を交互に用いている。1つは広い視野で考える発散的思考であり、もう1つは狭い範囲に焦点を合わせる収束的思考である。組織を運営するにあたっては収束的思考が優れた技術であると見なされ、一般的に実施されている。発散的思考が組織で利用されることはめったにないが、組織の意図と思考法の間には実は明らかに矛盾がある。

なので、どちらも必要であり、そして今の変わろうとしている企業にとっては発散的思考は一方で阻害されながらももう一方では強く求められているのだと感じています。
そういう未来は楽しそうだなぁと思う自分はやっぱり発散的思想なのかなぁ(笑)